私がネパールヘルスキャンプに参加しようと思ったのは直感です。
鍼灸師の中では知っている人も多いイベントだったようですが私は参加する四か月前にFaceBookで初めて知りました。
IVVA様のホームページを拝見し「これだ」と思ったのですぐに参加を決めました。
10年ちょっと鍼灸師をやっていますがここ数年何か自分の中でくすぶっている部分があり、それが自分自身も把握できていない状態だったので何か変化を求めていたのかもしれません。
そんなわだかまりが解消するような気がして参加を決めました。
参加準備はスムーズに進みました。
ビザ取得、英文の鍼灸免許などありましたが協会のご担当者様が迅速にご対応してくださったおかげで問題なく進みました。
バンコクで集合し挨拶をすましてからはカトマンズ、チトワンと移動し夜は食事会、翌朝からヘルスキャンプがスタートです。
動画や写真、ホームページなどで確認していたのでイメージはありましたが外国人の患者さんが並んでいて古い建物の暑く湿気が充満する状況下に自分の身が置かれると何がどうなるのだろうと戸惑いました。
戸惑っているまま目の前に患者様と対面。
ある程度決められた時間までに外に並んでいる人を皆施術しないといけない、ヘルスキャンプ中の五日間で一カ所でも多く楽になってほしい。
時間・環境・道具。全てが日本とは違う限られたものの中でどうにかするという治療がスタートしました。
病院にも通えない、病院に行っていても治療の選択肢が少ないため満足のいく治療が受けられていない状態、このヘルスキャンプに期待しているのがよくわかりました。
環境に慣れたらやることはいつもと同じ。
治る方法を考えて施すのみ。
ここの考える作業が私はとても楽しかったし今後の役にも立つ部分だと思います。
日本で治療をしている時のように治療器もない、言葉も十分伝わらない、時間も限られている、医療にかかれない人に五日間しかない中でできるだけのことをしたい。
そう思いながら鍼灸治療を施す作業は大昔の鍼灸師の疑似体験だったと私は感じました。
言葉が発展してない時代、鍼がまだない時代、経絡経穴や解剖学等医療全般が発展していない時代そんな時代からきっと石や棒で身体を押してみたりして人を治そうとした人が、鍼ができてツボの概念がない時代に必死でどこに鍼を打ったらよくなるのか考えた人が、形になったものを広げた人や受け継いだ人がいたんだろうな。なんて考えながら施術をしていました。
今の日本なら鍼灸も電気治療もリハビリも沢山の選択肢があり、病院もほぼ誰でも受診でき、運動が必要ならジムも沢山あり病院やジムを紹介することもできる。
ネパールヘルスキャンプを体験して、ヘルスキャンプでやっていたことが通常の時代があり今の日本のように進化してきたんだなと実感しました。
不十分だろうなと思いながら今日は終わります。と伝えると日本では受けたことのないような感謝の気持ちを表現してくれる方もいらっしゃいました。
治療より予防が大切だと私は思いますし、様々な分野で日本国内ではそれが進んでいると思いますが今回ヘルスキャンプをしたような街にはそんなこと言っていられずに何年も何十年も痛みを我慢して苦しんでいる人たちが沢山いるんだということを知りました。
美容鍼やその他の付加価値を付けた鍼灸が日本にはたくさんあり、それも進化の過程だとは思いますが東洋医学の成り立ちは数千年・数百年前の沢山の先人たちが「困ってる人苦しんでいる人をどうにかしたい」っていう想いから始まり、発展し、受け継がれ、進化を繰り返したものなんじゃないかなってヘルスキャンプでの『大昔の鍼灸師の疑似体験』を通じて私は感じました。
時代が変わり、生活が変わり、人の悩みも変わっていけば鍼灸に求められるものも変わってくる中で私自身が鍼灸師としてできることをこれから手探りしながら追いかけていきたいです。
私は『大昔の鍼灸師を疑似体験』できたこと・そこから感じたものがヘルスキャンプで得たもの、今後の財産になるものだと思っています。
上記は私個人の感想ですし100%ではないかもしれませんがヘルスキャンプに参加すれば何かしらの気づきや発見、再認識などプラスの効果があると思います。
私はお勧めしたいイベントです。
また今年は運がよく様々なイベントを楽しませていただきました。
ネパールの皆様、協会の皆様、参加者の皆様には本当に感謝しております。
全てにおいて濃厚で大満足な一週間でした。